OSAKA STATION CITY GUIDE

do-ya?[ドーヤ?]

3年で6000食!グッズ100種!カツカレーマニア・メイドインアリサのパワーの源【ハイパー偏愛図鑑 Vol.03】

どや!

全国各地でカツカレーを食べ歩き、フリーペーパー『【公式】カツカレー図鑑』を発行するメイドインアリサさん。意外なことに、カツカレーマニア歴はまだ3年!? カツカレーを愛し過ぎて、この3年で食べた数は6,000食以上! 作ったカツカレーグッズはなんと100種類もあるとか……。カツカレー熱愛女子としてテレビや雑誌にも多数出演する彼女の人生とは? 大阪ステーションシティにある「柿安 精肉イートイン 大丸梅田店」のカツカレーを食べながらお話を伺いました。

write:トミモトリエ
edit:人間編集部

今回の偏愛者

メイドインアリサ

島根生まれ、西区在住。2020年に西天満のBAR「ゆとりちゃん」を間借りして、カレーと癖の強い靴下のお店「THE MOTiVATiON SHOP(ザ・モチベーションショップ)」をオープン。全国のカツカレーを食べ歩くカツカレーマニア。カツカレー専門フリーペーパー『カツカレー図鑑』を不定期発行。

\ドヤ/
3日食べないと禁断症状! 毎日食べても飽きないカツカレーの魅力

──カツカレーの魅力を教えてください!

アリサさん:カツカレーって一番元気になる食べ物だと思うんですよ。豚カツとカレーの組み合わせって最強じゃないですか! 「勝つ」っていう“げんかつぎ”の意味もあるし、見るだけでモチベーションが爆上がりします。

ファミレスやサービスエリアのメニューに大体あるし、豚カツ専門店が作るカツカレーもあれば、喫茶店のカツカレーが驚きのクオリティーだったり……意外なところにおいしいカツカレーが隠れているので、DIGる(掘る)のが楽しくて。お店によってこだわりが違うし、地域別の特徴もあって奥深いんです。

柿安 精肉イートイン 大丸梅田店の「沖縄あぐ〜豚 ロースカツカレー サラダ付き」(1日10食限定/税込1,455円)

──どれくらいのペースでカツカレーを食べているんでしょうか?

アリサさん:ほぼ毎日食べます。まず、朝ごはんとして自分で作ったカツカレーを食べて、お客さんが少ない時間帯になったらまた食べて……遠征した時は1日に何食も食べ歩きます。

昔から好きだったというわけではなく、まだハマって3年なんですよ。食べた数は6,000食くらい。3日食べないと禁断症状が出ます。ハマり方が尋常じゃないとよく言われます……(笑)

──今回食べていただいた「柿安 精肉イートイン 大丸梅田店」の「沖縄あぐ〜豚 ロースカツカレー」のお味はいかがでしょう?

アリサさん:前から気になっていて、ずっと食べたかったんです。脂が甘くておいしい! カツの脂身ってしんどいイメージがあると思うんですが、これはサラッと食べられてしまう。火の通し加減が絶妙ですね。ルーもちょうどいい粘度で、冷めてもおいしいタイプ。自分のお店で出しているのはサラッとしたルーなんですが、個人的に好きなのは、こういうある程度ねっとりしたタイプなんです。

これは、精肉店のイートインコーナーで食べられる「お肉屋さんの究極のカツカレー」って感じですね。あぐ〜のカツカレーがこの価格って安過ぎじゃないですか?

厳選した飼料を与え、時間をかけて丁寧に育て上げているあぐ〜。肉質がきめ細かく、脂の旨みと甘みを楽しめる。

\ドヤ/
コロナ禍が転機に?落ち込んでいた自分を元気にしてくれた唯一の存在

──カツカレー沼にハマったきっかけを教えてください!

アリサさん:私の場合、カツカレーが好きでカツカレーの店をはじめたのではなく、カレー屋をはじめてからカツカレーの魅力を再認識した流れで……店のメニューも後から方向転換したんです。

自分の店をオープンする前は、難波にある「カレーとお酒のお店。プコ家」で8年ほど働いていました。勤めたきっかけはカレーが好きだからというわけではなく、いろんなアルバイトを掛け持ちしていた時代にたまたまバイト募集の貼り紙を見て。他にもタワーレコードとかいろんなバイトをしてました。

おいしくて、この表情。

──カレーが好きなわけでもなかったんですね。

アリサさん:そうなんです。「プコ家」で働くようになってからカレーの面白さを知って、いろんなお店のカレーを食べ歩くようになりました。ただ、当時はスリランカカレーやスパイスカレーのお店に行くことが多くて。だから、自分の店をオープンした当初は、どちらかというとスパイスカレーの流行をくんだメニュー展開だったんです。そもそも、お店をはじめたのも、カレー屋がやりたかったわけではなく、「モチベーションを上げる」というコンセプトで、癖の強い靴下を売りたくて。ついでにカレーも売ろうかな……くらいの感覚でした。

──そうだったんですね! そこからカツカレーに目覚めたのは……?

アリサさん:きっかけは父の死でした。突然のことだったし、あまりのショックに何も食べれない日が続いて……。でも、お葬式が終わった後、たまたま入った豚カツチェーン店でカツカレーを食べたら、すごく元気になったんです。お葬式が終わってホッとしたこともあると思うんですが、急に食べ物が喉を通ったんですよ。その時「カツカレーってすげえ!」と感動して、目覚めてしまいました。お店をはじめて3カ月ほど経った、2021年1月のことでした。

フリーペーパーの『【公式】カツカレー図鑑』

それからカツカレーの食べ歩きが趣味になり、個人的な記録のために「【公式】カツカレー図鑑」というInstagramのアカウントを開設したんです。そしたら、今の間借り先の店舗「ゆとりちゃん」の店長がロゴマークを作ってくれて、さらに「フリーペーパーにして配ったら?」と提案して作ってくれて、そのうちオリジナルグッズまで作るようになって……。ちょうどコロナ禍でお店を開けられない時期だったから、店長も暇だったんですよね(笑)

──オリジナルグッズは何種類くらいあるんでしょうか?

アリサさん:Tシャツ、帽子、キーホルダー、ペン、缶バッジ、コップ、タオル……などなど、自主制作のカツカレーグッズを作り続けてとうとう100種を超えました。一番人気はタオルですね。最近のイチオシは子ども向けに作った「カツカレーぬりえ」です。子どもたちが自由な発想で、カツカレーをカラフルに塗ってくれるんですよ。

グッズの売り上げは『カツカレー図鑑』の制作を続ける軍資金にもなっていますが、手間がかかり過ぎて全然もうからない(笑)。それでも作り続けてしまうんです。

【公式】カツカレー図鑑オンラインショップ

──愛ですね……。『カツカレー図鑑』に掲載されているお店の中で、おすすめを教えてください。

アリサさん:第一集の表紙になっている、新梅田食道街にある「カレーショップMASARA(マサラ)」はビジュアルも味も文句なしですね。ザクザク衣のカツにしっかりパンチのある、ねっとり濃厚なルー。お店の雰囲気も、味があって最高です。

少し変わったものだと、町中華のカツカレーというカテゴリもあって、その最高峰が大阪・千鳥橋にある「天天菜館(てんてんさいかん)」。カリッカリに揚げた硬めの衣に、ラーメンスープがベースになったルーにラー油と山椒のシビ辛感が混ざった、中華系カツカレーです。

最近はカツカレー遠征が楽しくて、Instagramに掲載してるお店が大阪以外ばかりになっているんですが……私のカツカレー人生の中で一番衝撃を受けたのは、北海道・旭川にある珈琲専門店「B.BROWN(ビーブラウン)」のカツカレー。おばあちゃんが1人でやってるような一見普通の珈琲屋なんですけど、かなりインパクトのあるカツカレーを出してます。ライスの上にベーコン、その両脇にポテトサラダとポテトフライが乗ってるという初めて見るビジュアルで。こんなのアリなんだ! って感銘を受けました。北海道のカツカレーはどれもおいしかったですね。

『カツカレー図鑑』にまだ掲載していないんですが、大阪駅周辺だと、大阪発のカレー屋として有名なチェーン店「ピッコロカリー」と「カレーハウスサンマルコ」も老舗の貫禄があっておいしいですよね。大阪駅周辺はカツカレーの選択肢が多い!

味変トッピングとして落花生・パイン・レーズン・キュウリが自由に乗せられるのが特徴的な「カレーハウスサンマルコ」。

\ドヤ/
辿り着いた究極のカツカレー

──THE MOTiVATiON SHOPで出しているのは、どんなカツカレーなんでしょうか?

アリサさん:女性が気軽に食べられるカレーを目指して作りました。私は重めのカツカレーも好きなんですが、SNSで「カツカレー」って検索した時に、「カツカレー食べたかったけどランチには重いからな……」とか、「カツカレー注文するのちょっと恥ずかしい」みたいな女性の声がたくさんあって。満足度はそのまま、重過ぎず、女性も注文しやすいカツカレー屋になろうと思ったんです。

THE MOTiVATiON SHOP(ザ・モチベーションショップ)の本気の欧風カツカレー。裏メニューだったカツカレーが、現在はメインメニューに。

ルーは隠し味に挽きたての豆から入れた珈琲を入れるのがポイント。濃厚で深みがあるのに重くないルーに仕上がっています。お肉は豚肉独特の臭みを抑えたプレミアムブランド「ハーブ三元豚」です。

──どうやってその味に辿り着いたのでしょうか?

アリサさん:「カツカレー図鑑」をはじめて間もない頃、雑誌『Meets Regional(ミーツ・リージョナル)』(京阪神エルマガジン社)の大阪スパイスカレー特集号で、カツカレー特集の企画に出演しないか? というお誘いをいただいて。それが「私が大阪のカツカレーを研究して、取材した店の要素を全部取り入れて、自分なりの究極のカツカレーを作る」という企画だったんです。

『Meets Regional』2021年9月号「大阪スパイスカレーIII」特集号 
実際に期間限定で販売した「ザモチ #カツ活 カツカレー」

いろんなお店を取材しましたが、果物や野菜を3年熟成させたルーが特徴の老舗「元祖とんかつカレーカツヤ」の要素をどう取り入れたらいいのか、めちゃくちゃ悩んで……。どうやったら3年熟成ルーに近づけるのか? って研究しまくったんです。その時に隠し味の珈琲含め、今のルーの原型ができました。あの企画がなかったら今の味にたどり着いていなかったです。

──カツカレーを評価する上で重要なポイントは?

アリサさん:ルーやカツはもちろん大事なんですが、カツカレーはライスがおいしくないと台無しになるので、炊飯のコンディションに命かけてます。お米も研究しました。私の店では、北海道産の「ななつぼし」を使用しています。粒立ちがいいのが特徴で、カツカレーとの相性抜群なんです。

──アリサさんにとってカツカレーとは?

アリサさん:永遠のパートナーですね。カツカレーと一緒に生きて、一緒に死にたい。カツカレーを好きになってから人生が激変したんです。こうやってメディアのインタビューを受けたり、テレビに出演させてもらえたこともいい経験ですし、カツカレーを食べに新潟に行く……とか、知らない場所へ行くきっかけになって、楽しく生きる原動力になっています。

まだまだ行きたい場所、食べたいカツカレーがたくさん。日本全国どこにでもカツカレーはありますからね! カツカレーに捧げるこれからの人生も、思いっきり楽しみたいです。

取材したお店

  • 柿安 精肉イートイン 大丸梅田店
    住所:〒530-8202 大阪府大阪市北区梅田3-1-1 大丸梅田店 B2F
    お問い合わせ:06-6343-1231(大丸梅田店代表)
    営業時間:10:00~20:00(L.O.19:30)
    定休日:なし(大丸梅田店に準ずる)

大阪駅周辺でカツカレーが食べられるお店

  • ピッコロカリー JR大阪駅店
    住所:〒530-8202 大阪府大阪市北区梅田3-1-1 大阪ステーションシティ セントラルコート大阪
    お問い合わせ:06-6347-4780
    営業時間:11:00~22:00 (L.O.21:30)※テイクアウトは10:00〜
    定休日:なし
  • カレーハウス サンマルコ 大阪ステーションシティ店
    住所:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田3-1-1 大阪ステーションシティ サウスゲートビルディングB1
    お問い合わせ:06-6341-3050
    営業時間:10:00~21:30(L.O.21:00)
    定休日:なし
  • カレーショップMASARA
    住所:〒530-0017 大阪府大阪市北区角田町9-16 新梅田食道街 1F
    お問い合わせ:06-6312-9182
    営業時間:12:00~21:00 ※売り切れ次第終了
    定休日:不定休
  • とんかつ まい泉 ルクアイーレ店
    住所:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田3-1-3 ルクア イーレ 10F ルクアダイニング
    お問い合わせ:06-6151-1463
    営業時間:11:00~23:00(L.O.21:30)
    定休日:ルクア大阪に準ずる
  • とんかつ料理と京野菜 鶴群 大丸梅田店
    住所:〒530-8202 大阪府大阪市北区梅田3-1-1 大丸梅田店 14F 大丸エキウエダイニング美食区
    お問い合わせ:06-4796-2180
    営業時間:11:00~23:00(L.O.22:00)
    定休日:なし(大丸梅田店に準ずる)
  • 匠とんかつ まるかつ 大阪駅イチロクグルメ店
    住所:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田3-1-1 サウスゲートビルディング 16F イチロクグルメ
    お問い合わせ:06-6347-9656
    営業時間:11:00〜15:30(L.O.15:00)、17:00〜21:30(L.O.21:00)
    定休日:なし
  • からふね屋咖喱店
    住所:〒530-0001 大阪府大阪市北区梅田3-1 JR大阪駅構内 桜橋中2F
    通路お問い合わせ:06-6225-8874
    営業時間:10:30~22:00
    定休日:なし

この記事を書いた人

トミモトリエ
1976年東京生まれ、大阪在住。株式会社人間所属、人間編集部編集長。人間を編集する編集者であり、変を集める変集者。偏愛者を愛し、大阪に生息する超生命体を研究している。時代を蛇行する超生命体マガジン『ヘンとネン』で「超生命体の偏愛図鑑」更新中。年間400食カレーを食べるスパイス狂。