OSAKA STATION CITY GUIDE

do-ya?[ドーヤ?]

映画『モアナと伝説の海2』尾上松也インタビュー

どや!

writer:華崎陽子
photo:井原完祐

「『モアナと伝説の海』が僕の世界を広げてくれた」
大ヒットディズニー・アニメーションの続編『モアナと伝説の海2』
前作に続いてマウイの日本版声優を務めた尾上松也インタビュー

1990年5月に『伽羅先代萩』の鶴千代役にて二代目尾上松也を名乗り初舞台を踏んで以降、歌舞伎のみならず、舞台やミュージカル、映画、テレビドラマにと幅広い活躍を見せる尾上松也。そんな松也が日本版声優を務める、大ヒットディズニー・アニメーション『モアナと伝説の海』の続編『モアナと伝説の海2』が、大阪ステーションシティシネマほか全国にて上映中。


前作の壮大な冒険から3年後を舞台に、人間を憎み世界を引き裂いた“嵐の神の伝説”を知ったモアナが、マウイらと共に、広い海を分断する呪いを解き、再び世界をひとつにするための冒険へ旅立つ様を描く。


そんな本作の公開に合わせ、モアナの頼れる相棒で変幻自在な半神半人の英雄マウイを演じる松也が作品について語った。


──7年ぶりの続編ですが、第1報を聞いた時はどんなお気持ちでしたか。


世界的に発表される直前に僕も知ったので、とてもびっくりしました。ですが、どのような展開になっていくのか、どのキャラクターが登場するかもわからず、続編をやりますというお話しだけは伺ったのですが、マウイがどれだけ出てくるかわからないですし、そもそも出ているのかどうかもわからない状況でした。


──そうだったんですね。


内容については、ディズニーの関係者でもごく一部の方しか知らなかったらしいので。続編が決まって嬉しいのと同時に、出られるのかな?という不安はありました(笑)。

──マウイを7年ぶりに演じられるとわかった時はどのように感じられましたか。


嬉しかったですね。第1作目の時から、ぜひ続編をという思いはありました。最近のディズニー・アニメーションは続編を作ることが多いこともあり、きっと続編があると信じていたので嬉しかったです。

──公開から7年後の2023年に『モアナと伝説の海』が全世界のストリーミングで1番見られた作品になりましたが、モアナが人気になった理由はどういうところにあると感じてらっしゃいますか。

1歩漕ぎ出す勇気というメッセージを、とてもストレートに受け取れる作品だと思うんです。それが多くの方に少しずつ浸透したことと、元気が出るような楽曲が幅広い年代の方たちに勇気を与えられたのが理由なのではないかと思います。

──松也さんはディズニー作品への参加は前作が初めてでしたが、反響はすごく大きかったのではないでしょうか。


とても大きかったですね。僕自身もずっとディズニーのファンで、いつか自分もディズニーの作品に関わりたいというのが夢でしたので、とても感慨深いものがありました。それに加えて、たくさんの役者仲間や友人から、「子どもたちが毎日のように聞いてるよ」と連絡をいただいたり、子どもたちがマウイの歌を聞きながら踊っている動画がたくさん送られてきたりすると、ディズニー作品に参加する重みはもちろん、影響力の大きさを感じました。


──それは嬉しいですね。


やはり、僕自身も子どもの頃にディズニー作品をたくさん見て、その歌を聞きながら育ってきましたので嬉しかったですね。その当時は、誰が声優さんを担当しているのかなんてわかっていなかったのですが、その声で成長してきましたので、僕もマウイを通して、子どもたちに、誰だかわからないけど声に聞き覚えがあると思ってもらえる、そして作品の一部になれるんだと実感ができて、とても感慨深かったです。


──前作のマウイの歌ももすごく反響がありましたが、今回の歌は、また違った難しさがあったのではないでしょうか。

マウイの曲があると伺っていたので、「どんな曲が来るのだろう、今回は」と楽しみにしていたのですが、楽しみよりもまず先に、大丈夫かな?できるかな?と感じました。第1作目の「俺のおかげさ」という曲も難しい曲ですが、今作の歌はラップ調で、それよりも難しかったです。「俺のおかげさ」は、マウイの自己紹介のような楽曲でしたが、今回はモアナを勇気づけて後押しするような、応援歌のような曲なんです。とても勇気をもらえるナンバーなのですが、歌い手としては非常に難易度の高い楽曲でした。

──7年ぶりにモアナ役の屋比久知奈さんとご一緒されて、どのように感じられましたか。

第1作目の時は、僕の方が収録スケジュールが早く、屋比久さんのモアナの声を聞いていない状況でしたが、今回は安心して、モアナのことを想像しながら演じることができ、やりやすかったです。モアナを演じられた屋比久知奈さんは前作がほぼデビュー作でしたが、今は、ミュージカル界のスターにのぼりつめて、中心的な存在になってますから。モアナと共に屋比久さんも成長しているような感じがあって、声の質感や重みも、自然と第1作目より増しているように感じました。

──マウイとモアナの関係性も前作を経て変化していて、マウイがモアナに発破をかけるような、前作とは違った関係性になっていたと思います。

おっしゃったように、第1作目のマウイはどちらかというと逃げ腰で、モアナが無理矢理引っ張っていくことで、共に成長して乗り込えるという物語でした。ですが、今回は徹底してマウイがモアナのサポート役にまわって、モアナを諦めさせないようにするので、前作とは関係性が全く違って、とても面白かったです。

──本作の「必ず道はある」というメッセージが、すごく心に響きましたが、松也さんは本作を観てどのように感じられましたか。

僕はモアナの姿勢に心が揺さぶられました。今回は、モアナの島が困っているわけではないので、自分たちのことだけを考えれば、それで十分なのに、そこに甘んじることなく、より良い世界を目指していくストーリーです。広く大きい目で物事を見る、その姿勢がとてもかっこいいと思いました。自分たちや身近なことが大切なのは当たり前ですが、それだけではなく、俯瞰でいろいろなことを見てチャレンジしていく姿勢、そこに甘んじるのではなく、果敢に挑戦し続ける姿勢がとても好きだなと思いました。

──松也さん自身も1作目をきっかけに活躍の場が広がったように感じます。『モアナと伝説の海』という作品は松也さんにとってどのような存在なのでしょうか。

先ほど申し上げたように、ディズニー・アニメーションの吹替えを務めるのが夢でしたので、これは僕にとってかけがえのないお仕事です。なおかつ、それ以降、他のアニメーション作品でも吹替えのお仕事をさせていただいたり、さらに他のお仕事にも繋がっていますので、この『モアナと伝説の海』という作品は、僕の世界を広げてくれた作品です。

──もし、この後も『モアナと伝説の海』が続くなら…?

きっとあると願っています。世界的にも快進撃を続けていますので。日本でもぜひそうなっていただいて。いよいよこれはアトラクションになってしまうのではないかと。


──アトラクションですか!

僕のもう1つの夢はアトラクションになって声を担当することなので。『アナと雪の女王』はアトラクションになりましたから、『モアナと伝説の海』がいよいよアトラクションになるのではないかと期待しております。

──マウイはコミカルな部分もありながら、モアナに語りかけるようなシーンもあって、声のバリエーションが必要だったと思います。マウイを演じる上で、どのようなことを意識されていたのでしょうか。


これだけ取材を受けているのに申し訳ないのですが、吹替えで映画を観ている時に、僕だと気づかれないことが一番だと思っています。マウイ越しに僕の顔が出てこないことが僕にとっては重要なことだと思っています。それは声色とかではなく。僕が見ても、自分の声ですけど自分の声ではないように感じる時もありますので、僕だと気づかないまま観ている方も多いと思うんです。ディズニーファンの方でも、意外とまだ知らないまま観ている方がいらっしゃるみたいでして、それは僕にとって実はとても嬉しいことです。

この後、大阪ステーションシティ5F「時空(とき)の広場」で行われた、『モアナと伝説の海2』公開記念Twilight Fantasy 尾上松也スペシャルトークイベントに登壇した松也は、「7年間のブランクがありましたけど、つい最近公開したかのように、『マウイの曲を聞いてます』と言われることが多々ありますので、マウイと離れていた感覚はないですね」とマウイ役への思いを語った。そして、「時空(とき)の広場」内カフェ「バール・デルソーレ」で展開中の映画『モアナと伝説の海2』公開記念カフェのタイアップメニューを試飲する場面も。

また、大阪ステーションシティシネマで行われた舞台挨拶では、「大阪の皆さんは明るくて元気がありますので、ステージに立っていてもそれに負けないように頑張ろうという気持ちにさせていただける」と大阪の印象を語り、「前作以上にパワフルで、観る方に勇気を与えてくれる。前作同様、感動と共に、人生において勇気をくれる、背中を押してくれるようなメッセージがある作品です」と本作の魅力を語っていた。

大阪ステーションシティシネマ支配人からのコメント

一年の疲れがたまる年末に、とんでもない元気を貰える作品です!笑ってハラハラドキドキして、仲間との絆に感動し、妹の可愛らしさに癒され、感情が大忙しになるストーリーは、圧巻の音楽、圧倒的な映像表現による没入感を体感出来る映画館でこそ100%楽しめるものだと思います!私は主題歌の「ビヨンド~超えてゆこう」がずっと頭から離れず、モアナの前作からの著しい成長を感じる多くのシーンから、体の奥底から湧き上がるような元気をもらうことができました。
大阪ステーションシティのイルミネーションも、映画『モアナと伝説の海2』の世界観をイメージしたものに展開されています。今冬は是非、大阪ステーションシティで本作をお楽しみください!

Movie Data

『モアナと伝説の海2』

▼大阪ステーションシティシネマほか全国にて上映中

日本版声優:屋比久知奈(モアナ)、尾上松也(マウイ)、小関裕太(モニ)、鈴木梨央(ロト)、山路和弘(ケレ)、ソニン(マタンギ)
監督:デイブ・デリック・ジュニア、ジェイソン・ハンド、デイナ・ルドゥー・ミラー

(C) 2024 Disney. All Rights Reserved.

Profile

尾上松也


おのえ・まつや●1985年1月30日、東京都生まれ。1990年に、二代目尾上松也を名乗り初舞台。
若手歌舞伎俳優の筆頭格として活躍中。2015年にはミュージカル「エリザベート」、2018年には主演を務めた、劇団☆新感線「メタルマクベスdisc2」など、歌舞伎以外の演劇にも活動の場を広げ、2019年からは、山崎育三郎、城田優と立ち上げたプロジェクト「IMY(アイマイ)」でも活動している。2017年には、「さぼリーマン甘太朗」で連続ドラマ初主演を飾り、2020年には日曜劇場「半沢直樹」に出演し、2022年にはNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人』に後鳥羽上皇役で出演し話題を呼んだ。映画では、2017年の『モアナと伝説の海』で声優を務め、歌声も披露。2022年には『バッドガイズ』で主人公の日本版吹替を担当するなど、多彩な活躍を続けている。