OSAKA STATION CITY GUIDE

do-ya?[ドーヤ?]

映画『#真相をお話しします』中条あやみインタビュー

どない?

writer:華崎 陽子
photo:源 賀津己

「全てがヒントになるのが、この映画の面白さだと思います」
暴露系生配信チャンネルが題材のミステリー映画『#真相をお話しします』
中条あやみインタビュー

『劇場版 TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』や『あまろっく』をはじめ、数多くの映画やテレビドラマに出演し、バラエティ番組やCMにと幅広い活躍を見せる中条あやみ。そんな中条が出演する『#真相をお話しします』が、大阪ステーションシティシネマほか全国にて上映中。

多額の報酬をかけた生配信チャンネル「#真相をお話しします」を舞台に、様々なゴシップの真相が明かされ、驚愕の暴露の数々に観衆は沸き高額の投げ銭が飛び交う中、あるビルの警備室で画面をのぞき込む2人の男たちにスポットライトが当たるが…。

Mrs. GREEN APPLE のフロントマン大森元貴と男性アイドルグループ・timeleszの菊池風磨が主演を務め、中条あやみ、岡山天音、福本莉子、伊藤健太郎、伊藤英明らが共演する話題作だ。そんな本作の公開に合わせ、キーパーソンであるヨガ教室経営者を演じる中条が作品について語った。


──ネタバレが多い作品なので、番宣やインタビューも大変だったと思います。中条さんも言えることはすごく少ないですよね。

私よりも主演の2人の方が大変だったと思います(笑)。私は、役名を言ってもネタバレになってしまうので、謎のヨガ教室経営者と言うしかなくて(笑)。全てがヒントになるというのが、この映画の面白さだと思います。ミステリーかな?と思ったら、大きなオチが待っているエピソードがいくつかあって、最後には爆弾が待っているので。

──そうですね。最後のエピソードは衝撃的でした。初めてこの映画の脚本を読まれた時はどのように感じられましたか。

若い世代というか、現代を生きる人全員に観てほしいと思いました。というのも、こんなにポップにバーチャルな世界についてのメッセージを伝える映画は今までなかったと思うんです。

──わかります。

ビジュアルだけを見ると、様々な俳優さんが出ていて色合いもカラフルで、テンポよく進む映画なのかな?と思いきや、実は強いメッセージが含まれているので。この作品のテーマは、誰にでも当てはまると思うので、原作を読んでいても読んでなくても面白く感じてもらえるんじゃないかと思いました。

──暴露チャンネルという設定が、すごく面白いですよね。原作と違うからこそ、映画として成立したんじゃないかと。

そうですね。実際にこういうことがあってもおかしくない世の中だと思うので、いつ自分が当事者になるかわからないですよね。他人事のように画面越しから見ていた人が当事者になって、この映画のストーリーの一部になってしまうところが、この映画の魅力だと思います。

──全てのエピソードにたくさんの驚きがありましたが、中条さんはどのエピソードが印象的でしたか。

私は、家庭教師のお話が印象的で、オチが二転三転して予想していた展開とは違うところに着地するのが新しいと思いました。原作者の結城真一郎さんはすごい物語を考えてらっしゃいますよね。元々好きな東野圭吾さんのミステリーとはまた違うジャンルで興味深いと思いました。

──完成した作品を観て、主演の大森さんと菊池さんのコンビはどのように感じられましたか?

まず、ユニークな組み合わせだなと感じました。どちらも歌を歌う方という共通点はありつつも、2人の持つ世界観が違うからこそいいケミストリーが生まれていたと思います。2人が演じた役も、絶妙な距離感があることが、悲しさや切なさを生み出していた気がしました。

──確かに、今まで見たことのない2人だからこそ、どうなるかわからない面白さもありますよね。YouTubeの「#真相の部屋」も拝見しましたが、すごく楽しそうですよね(笑)。

2人とも頭がいいというか、回転が速いですよね。私も「#真相の部屋」は見ていますが、発想を掛け合わせるのが2人ともすごく上手で。こっちがフォローしたらこっちがボケて、こっちがボケたらこっちがフォローして、みたいな。2人ともバランス感覚が優れていて天才だなと思います。

──こんなに何本もYouTubeで動画をあげる映画はなかなかないと思います。岡山天音さんを含めて4人で出られた回もありましたが、いかがでしたか。ネタバレ部分にピーと音が入るのもすごくユニークで、面白いですよね。

ネタバレが多すぎて、ほぼ出せないYouTubeっていうのも新しいですよね(笑)。「ピー」が入っているのが余計に気になって見てしまうんじゃないかな(笑)。その緩さがちょうどいいなと思いながら見ていました。

──「#真相の部屋」の中で、中条さんが3日間椅子に縛られて撮影していたので、巻き肩が治った、と(笑)。

そうなんです。私にはメリットがありました(笑)。

──撮影はどのように行われたのでしょうか。

配信やバーチャルの世界が舞台ということもあって、実際の撮影は、ほぼグリーンバックだったので、クランクインしてすぐに配信やバーチャルの説明を受けて、イメージを話していただいて撮影しましたが、完成するまでは、誰もがどうなるんだろう?と思っていたと思います。

──映画の映像のようなイメージはなかったんですね。

想像はしていましたが、想像以上の映像に仕上がっていました。バーチャルの世界、SNSや配信というのは、現実と非現実の境目がなくなってきていると思うんです。

──そうですね。

バーチャルの世界にいる人が知り合いに思ってしまったことが原因になった事件もありましたよね。そういう境目がなくなってきている時代だからこそ、バーチャルな世界を怖いものだと感じるべきじゃないかというメッセージも込められていると思います。

──本作のラスト10分は傍観者だったはずなのに当事者になるようで、まさにそんな感じでした。岡山天音さんとは、『ある閉ざされた雪の山荘で』でも共演されていましたが、あの作品もミステリーでしたね。

天音くんとは『ライチ☆光クラブ』や『正しいバスの見分けかた』でも共演していますが、1年に1回ぐらい共演する機会があって。幼馴染みの様に前から知っている感覚なんです。

──なるほど。

今回、改めて天音くんは本当にお芝居が大好きなんだと感じました。グリーンバックを背に、ずっと1人で説明しているのに、動き方や声のボリュームの上げ具合を、ちゃんと自分の中で想像できていて。撮影の時は、すごく声を張っているんだな、ここはナチュラルな感じで言うんだな、と思いながら見ていたんです。でも、映像になってみると、オーディエンスが盛り上がっているのに合わせて自分も盛り上げていて。

──そのために声を張ってらっしゃったんですね。

そういう音や盛り上がっている様子は現場にはなかったんです。だから、きっと監督ぐらいの目線で作品のことが見えていて、それぐらいお芝居が好きだからこそ、繊細な調節が上手なんだと感じて。改めて、リスペクトしました。本人には恥ずかしいから言わないけど(笑)。

──ぜひ、言ってあげてください(笑)。中条さんが演じた役柄はヨガ教室経営者という役でしたが、どう演じるとかは…。

ほとんどないです(笑)。ただ座っていたぐらいの印象かもしれませんが(笑)、私が演じる役が皆さんから見て、「やっちまえ」と思えるぐらいの嫌味な女じゃないと意味がないと思っていたので、嫌な感じはちょくちょく出していました。でも、撮影はとにかく楽しかったです。

──あまり言えるところが少ない作品ですが、中条さんは本作をどのように紹介してらっしゃいますか。

そうですね。「観て」しか言えないかもしれない(笑)。でも、現代を生きる人は観るべき映画だと思うんです。私は、この映画は教科書に載ってもいいんじゃないかと思うぐらいで。教科書には適切ではない描写も少しあるかもしれないですが、今の時代は、想像力や優しさ、大きく言うと愛が足りないと思うんです。もちろん、誰しも悪いところがあれば良いところもありますが、ちょっとした優しさや思いやりが良いところを引き出して、そこからいい連鎖が生まれていくと思うんです。

──そうですね。

特に子どもや若い人は、傷つけられた痛みを知らないからこそ傷つける言葉を言えてしまう一方で、人からもらった優しさや温もりを知らないからこそ、傷つくこともあると思うんです。無知が1番怖いと思うので、無知をなくすためにも、この映画が広まってほしいと思っています。優しさや愛情、いろんな感情に触れることで、悪意を人に与えないようにするという良い教訓になる映画だと思います。

──中条さんは大阪府出身ですが、大阪駅や大阪ステーションシティはどんな印象をお持ちでしょうか。

私がこの世界に入って、東京に通い始めたのが14歳の時でしたが、この10年で一気に大阪駅も私の地元の天王寺駅の辺りもガラッと変わりましたよね。大阪に帰ってくる度に、どんどん新しくなっているように感じています。より都会的に、綺麗になっていて、飲食店やファッションビルなど、いろんな施設が増えて楽しく感じる一方で、ちゃんと古き良きものも残っていて。両方存在しているのが、すごく大阪らしいというか、残すべきものはちゃんと残しながら進化していて、すごく魅力的な街だなといつも感じています。

大阪ステーションシティシネマ支配人からのコメント

「#真相をお話しします」という大人気暴露系配信チャンネルで、視聴者の中からランダムに選ばれたスピーカー(話し手)がゴシップネタや事件の知られていない真相などを匿名で暴露していく流れで、1本の映画で複数のサスペンスが楽しめる作品です。

単純なオムニバスではないので、ぜひ前情報無しで一つ一つの話を楽しみつつ、全体の巧みな構成に驚いてください!

サスペンスとして面白いだけではなく、匿名性の怖さや罪深さなど、現代のネット社会に生きるわたしたち全員に向けて問いかけられているようなメッセージ性の高い作品ですので、自分ならどうするかなどの感想を語り合って頂ければと思います!

大阪ステーションシティシネマで大ヒット上映中ですので、ぜひご来場ください。

上映スケジュールのチェックはこちら!

Movie Data

『#真相をお話しします』

▼大阪ステーションシティシネマほか全国にて上映中

出演:大森元貴  菊池風磨
中条あやみ  岡山天音  /  福本莉子  伊藤健太郎  栁俊太郎  綱 啓永  田中美久  齊藤京子  原 嘉孝
桜井ユキ  /  山中崇  秋元才加  大水洋介  /  伊藤英明
原作:結城真一郎『#真相をお話しします』(新潮文庫刊)
監督:豊島圭介
主題歌:Mrs. GREEN APPLE「天国」

(C) 2025映画「#真相をお話しします」製作委員会

Profile

中条あやみ

なかじょう・あやみ●1997年2月4日、大阪府生まれ。14歳で芸能界に入り、2011年に「ミスセブンティーン」グランプリに選ばれる。翌年、TBSドラマ「黒の女教師」(12)で俳優デビュー。2014年には『劇場版 零 ゼロ』で映画初主演を務め、『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(17)、『覆面系ノイズ』(17)、『3D彼女 リアルガール』(18)、『ニセコイ』(18)、『雪の華』(19)、『水上のフライト』(20)、『劇場版 TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』(23)、『ある閉ざされた雪の山荘で』(24)、『あまろっく』(24)など、数多くの映画に出演。バラエティ番組やCMへの出演も多く、ドラマ「白衣の戦士!」(19)、「閻魔堂沙羅の推理奇譚」(20)、「君と世界が終わる日に」(21)などにも出演。自身初のフォトエッセイ「明日へのことば」(幻冬舎)が現在発売中。