OSAKA STATION CITY GUIDE

do-ya?[ドーヤ?]

定番だけじゃない!大阪駅の“じゃない方”名物

どうやろ

photo:牛久保賢二
write:かがたにのりこ

こんにちは、かがたにのりこです。グルメやエンタメジャンルを行き来しながら、執筆活動をしている、あんこ好きのライターです。

職業柄、「ちょっと気の利いた手みやげを教えて〜!」とか「差し入れのチョイス、お願いしてもいいかな?」なんて言われがちなんですが、正直結構悩みます。

冷蔵とか日持ちとか、持ち運びやすさとか。最近なら個包装にも気を使わないといけない場合もあるしね。あと、アクセス…!大荷物を持っての移動や小さなお子さんと一緒の旅行なら、駅でサッと買えるものがいい。
なおかつ、限定感があって気の利いたものを…となると割と難しくね?ということで、大阪ステーションシティの有名店4軒に、名物(=A面)“じゃないほう”の推し商品(=B面)を教えてもらいに行ってきました!

この記事を書いた人

かがたにのりこ

関西を拠点に活動するフリーライター。あんこ巡りと舞台鑑賞を趣味とし、時にはあんこツアーのガイドやワークショップなどのイベント、「あんこ詣」と銘打った和菓子の食べ比べオンライン配信も行う。WEBサイト「デジスタイル京都」「ハッケンジャパン」「メシ通」「きものと」「ポmagazine」などを中心に執筆中。

X: https://x.com/kagayan_anko

りくろーおじさんの店 大丸梅田店
ひねりの効いた、おりこうさん!

1軒目は大丸梅田地下1階にある、りくろーおじさんの店。焼き立てのチーズケーキを求めて連日行列の絶えない人気店です。

大阪駅のおみやげと聞いて思い浮かべる方も多いのでは

大丸梅田店には百貨店の出入口に面したメインカウンターと、店内を奥に進んだ場所にもう1箇所「りくろーおじさんプラス(以下プラス)」というミニカウンターがあります。
焼きたて販売に特化したメインカウンターとは別に、プラスは焼き置きのチーズケーキを販売しているので、時間帯によってはプラスの方がサッと買える場合も。

こちらがメインカウンター。平日でもこの混み具合
メインカウンターの奥にあるのがりくろーおじさんプラス。小さなカウンターが可愛いらしい

ちなみにプラスの行列はガラス張りの厨房横なので、ちびっ子も退屈しないんじゃないかな。

レーズンは底の外周にぐるりと入れるんだね!

こちらの店のA面はもちろん、「焼きたてチーズケーキ」ですよね。

焼きたてほかほか!おじさんの焼印を入れる前のレアな姿

そんな、りくろーおじさんの店のB面としておすすめされたのが「薪パイ」。
ねじねじとひねりの効いたスティックパイです。

1本90円でバラ売りもしています
こんなところに看板が!

「いや〜、薪パイは知らなかったわ〜」と、改めて店舗のディスプレイに視線を戻すと、

囲いの奥の壁に注目!

ショーケースの台座と奥の棚の上が薪に覆われているんですけどっ?!
えっ、なに…これって公式からの匂わせ?!

サブリミナル薪効果もあってか(多分違う)、実は「薪パイ」は焼き菓子人気No.1だそう。
この令和の時代に1本90円から買えて、個包装!箱入りなら持ち運びで崩れる心配もなし。しかも見た目はボリューミーなのに軽いのもありがたい。なんておりこうさんなんだ!

店舗情報

店舗名:りくろーおじさんの店 大丸梅田店
住所:大阪市北区梅田3丁目1−1 大丸梅田店 B1F
営業時間:10:00〜20:00
定休日:大丸梅田店に準ずる
お問い合わせ:0120-57-2132

551蓬莱 JR大阪駅御堂筋口店
お取り寄せ不可の、ニクいやつ

次に訪れたのは、こちらも大阪といえばなお店、551蓬莱。

梅田・大阪駅エリアでは現在8店舗を展開中の551ですが、テイクアウト専門で1番遅い時間までお買い物ができるのが、こちらのJR大阪駅御堂筋口の改札外の店。

夕方になると仕事帰りや出張帰りと思しき人々がずらりと列をなしますが、お昼間はふらっと立ち寄れる穴場かも。

A面はもちろん「豚まん」!
551はその場で包んで蒸して、出来立てを販売してくれる店が多いことも、つい買いたくなる理由のひとつです。

そして、「売上的には4番手くらいなんですが…」と言いつつ、推してくれたB面が「甘酢団子」。
わかる!私もコレよく買う。頻度でいえば、豚まんより多いかもしれない。

関西のお客さまには主力商品として知られている「甘酢団子」も、観光や出張で遠方からお越しのお客様にはまだまだ馴染みが薄く、そうした方達にも食べてもらいたい理由があるのだとか。

「豚まんはチルド(冷蔵)での持ち帰りやウェブショップからチルド(冷蔵)のお取り寄せが可能なのですが、甘酢団子は関西でしか手に入らない商品なんです。自社工場で一つひとつ手作業で揚げたものが毎日、各店舗に届くのですが、店舗で追加生産ができないので売り切れ次第終了となります。これは、さっき届いたばっかりなので、まだあったかいですよ!」と店員さん。

ほんとだ、ぬくい!でも冷めてもおいしいんだよね

ちなみにすぐ近くのJR大阪駅中央口店(改札外)はチルド商品専門のお店であるため、「甘酢団子」のお取り扱いがありません。お気をつけくださいまし。

店舗情報

店舗名:551蓬莱 JR大阪駅御堂筋口店(改札外)
住所:大阪市北区梅田3丁目1−1
営業時間:11:00〜21:30
定休日:無休
お問い合わせ:06-6348-2551

浪芳庵 エキマルシェ大阪店
和菓子屋さんのふわもち和スイーツ♡

続いて訪れたのは、JR大阪駅桜橋口すぐのエキマルシェ大阪にある浪芳庵。

大好きなあんこを前にガチ物色をはじめる筆者

一度食べたら忘れられない「炙りみたらし」がこちらのA面名物です。エキマルシェ大阪店だけで1日に2,000本売れたこともあるという絶対的エース。
米粉でつくった団子を紀州備長炭で炙り、湯浅産たまり醤油に利尻産昆布の旨みをきかせたタレをたっぷりとまとった一品です。

この素焼きのお団子だけでもおいしそう。

小さなお団子をいくつか串に刺すのではなく、涙型のような形にしたのは、お団子を効率よく短時間で焼き、水分を逃さず閉じ込めるため。ひと目で浪芳庵のみたらしを印象づける狙いもあったのだとか。

そして、この「炙りみたらし」と同じお団子が入っているのが、推しB面の「もちあんドーナツ」!
当店の人気No.2でございます!と、ドヤ顔をいただきました。

お団子やドーナツは、できるだけ出来立ての商品を食べてほしいという思いから、大国町の本店より、1日に数回入荷があるそう。夜に買ってもお団子がやわらかいのが仕事帰りに寄る人にも嬉しいポイント。

店舗情報

店舗名:浪芳庵 エキマルシェ大阪店
住所:大阪市北区梅田3丁目1−1 JR大阪駅構内 エキマルシェ大阪
営業時間:11:00〜22:00
定休日:エキマルシェ大阪に準ずる
お問い合わせ:06-6485-8191

pon pon Japon ルクアイーレ店
カラフルに愉しむあたらしいOSAKA!

最後に訪れたのは、ルクアイーレ2階にありますpon pon Japon(ポンポンジャポン) 。

カラフルでポップな雰囲気のお店は、大阪名物「おこし」の老舗「あみだ池大黒」の新ブランド。
200年以上にわたり、昔ながらのおこしを今もつくり続けながら、あたらしいおいしさにも挑戦して生まれたのが一口サイズの「pon pon coco」という商品。

今回は、この「岩おこし」と「粟おこし」が元祖という意味合いでA面、「pon pon coco」がB面といったところでしょうか。

「岩おこし」はピリリと生姜味が効いており、「粟おこし」は黒胡麻の風味が楽しめます。

「pon pon coco」は、季節のフレーバーも合わせると13種と多展開。甘い系としょっぱい系があるということで、B面は2種類選んでいただくことにしました。

おみやげニーズの高い大阪駅という立地もあって、ルクアイーレ店の人気No.1は「こてこて たこ焼きソース」味。
ある種のご当地感というか、おもしろ優先じゃないの?と侮るなかれ!お菓子としての完成度の高さに驚きますよ。これはみんな買うでしょ、むしろこの店のA面でしょ!ってことで、別のフレーバーにします。

店舗スタッフさんと広報担当さんにも相談して「ぜつみょう スパイスカレー」味と「とろあま  キャラメルクルミ」味を購入。どんなお味なのかわくわく。

店舗情報

店舗名:pon pon Ja pon(ポンポンジャポン) ルクアイーレ店
住所:大阪市北区梅田3丁目1−3 2 階 W240区画 ルクアイーレ
営業時間:10:30~20:30
定休日:ルクアイーレに準ずる
お問い合わせ:06-6151-1581

さあ、パーティーの時間だ!
おしゃれテラスで全9品を実食

「テーブルもベンチもあって、しかもフリースペースな、いい場所があるんです!」と編集部さんが連れてきてくれたのは、2024年7月31日にグランドオープンした「イノゲート大阪」6階のスカイガーデン。フロアの一番奥だからか、めっちゃ穴場。

屋外空間なので夏の終わりはまだ暑かったけど、過ごしやすい季節になったら、また行きたいくらい。

4人掛けのテーブル席で、カメラマンさんや編集さんと人気店のA面・B面を開封していきます。

甘いもの優勢のラインナップ

今さらだけど、音楽サブスク世代はA面・B面って通じるんだろうか。なんとなく察してくれることを祈って実食です。

りくろーおじさんの店は、A面が「焼きたてチーズケーキ」、B面が「薪パイ」。

「薪パイ」が結構大きいのが伝わるでしょうか?

「焼きたてチーズケーキ」には発売40周年の限定焼き印が押してあります(2024年9月取材時)。
笑顔のおじさんにナイフを入れるのが忍びなくて、ギリギリのところでカットしてから気づいたんだけど、おじさんを切らなくて済む「りくろーカット」なる切り方があるのね!?

箱に説明があった!

しかもこの切り方なら、真ん中の部分はレーズンなしになるので、シェアするメンバーにレーズンが苦手な人がいるときは特におすすめ。

「焼きたてチーズケーキ」は、ふわシュワで安定のおいしさ。フォークを入れたときに生地が「じゅ…」って鳴くのがいいんですよねぇ。

そして、気になる「薪パイ」は開けた瞬間にバターの香りが広がるぅぅ。サクサクとザクザクの間で、ややザクザク寄りの食感。素材もシンプルで、上質なものを使っているのが伝わってくるので、コアなファンにも愛される焼き菓子人気No. 1というのも納得です。

A面・B面ということでシングルCDに例えちゃうと、これは米米CLUBの「君がいるだけで/c/w 愛してる」ですかねー。曲自体のイメージではなく、あくまでも関係の対比のイメージで。

さて、お次は551蓬莱です。
551蓬莱は、A面が「豚まん」、B面が「甘酢団子」。

豚まんは1個からでも買えるって知ってた?

いやー、ここがスカイガーデンで本当によかった!この後、空腹のビジネスパーソンが休憩に来ても「誰だよ、551の豚まん食べたのはぁぁぁ!!!!」と悶えさせなくて済みますから。

「豚まん」は裏側の経木にどれだけ生地を持っていかれないようにするかを心がけております。
この木の香りも込みで「豚まん」のおいしさは構成されているので。たとえ公式さんが「いっぱい生地が剥がれたアナタは今日の運勢がいい」と言っても、これだけは譲れません。
カラシは食べ進めながらちょいちょいっと付けていくのが好きです。そして、あったかいこと。生地も具もあったかいうちが良いです。

一方、「甘酢団子」は冷めても、それはそれでアリなんです。
肉団子がふわふわとやわらかいからか、甘酢あんが見た目の色ほど味が濃くないからなのか、わかりませんけれども。このおいしさは、好みが合いそうな人にそっと教えたくなる感じなんです。

この2つをCDシングルに例えると、ウルフルズの「ガッツだぜ‼︎ /c/w いいたい事はそれだけ」でしょうか。

はいはーい、また甘いものに戻りますよ。
浪芳庵は、A面が「炙りみたらし」、B面が「もちあんドーナツ」。

浪芳庵の「炙りみたらし」は箱の中でビニール袋に密閉してもらえます。和菓子の中では移動の際に平らなまま持ち歩かなくてもいいので重宝しています。

みたらしのタレの味は日本各地でそれぞれの地域の特色があるんですが、昆布の旨味がほんのり効いていると「あ〜、大阪のみたらしやな〜」と思います。米粉のお団子は一般的にはもう少し硬くなるのですが、浪芳庵のお団子は水分量が多めで、みょーんと伸びる絶妙のやわらかさ。

「もちあんドーナツ」は、まずドーナツ生地が旨い!さすがパン部門を擁する浪芳庵です。
そして上に掛かっている黄色いカリカリ。これも良い。きな粉かなと思ったけど、トースターで温めたら溶けてキャラメリゼしたみたいになったのよね。
そして、あんこがこしあん。あんドーナツや、あんパンって巷では粒あんの店が多いけど、お団子とのバランス的にもこしあんなのがグッときた。

この2つをCDシングルに例えると、スピッツの「青い車/c/w猫になりたい」かなー。

いよいよラストの、あみだ池大黒とpon pon Japonになりました。
こちらは、A面が「粟おこし」、B面が「pon pon coco(とろあま キャラメルクルミ・ぜつみょう スパイスカレー)」。

私にとって「粟おこし」は、幼少期に父親が大阪出張があると買ってきてくれていた思い出のお菓子。小学生になって初めて自分も大阪に遊びにきたときにお小遣いで買った記憶があります。

30年ぶりくらいに、いただきます!

かっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっったいな!!!!!!!!!!!!笑
味はもとより、変わらぬ硬さに感動です。

一方「pon pon coco」は、クリスピーなんだけど、粟おこしとは違ってお米がパフ状になっているので、サクサクと軽やかな食感で次々に食べられる感じ。そして、「とろあま キャラメルクルミ」はお米と小麦のパフに刻んだローストクルミが入って香ばしさのアクセントに!

「ぜつみょう スパイスカレー」にはお米と小麦のパフにカボチャのタネが入って、食感のアクセントになってます。
飴で固めているから、先に甘さがくるんだけど、後から結構なスパイシーさが追いかけてきます。そこがまた大阪のカレーっぽくて良い!お米のパフも使ってるし、ほぼカレーライスやん。最近はスパイスカレーの激戦区としても注目されている大阪らしさも感じられる。今はまだB面だけどそのうち「こてこて たこ焼きソース」味と肩を並べる新定番になるんでは?などと思ったのでした。

元祖の「粟おこし」と「pon pon coco」の2つをCDシングルに例えるなら。そーですね、中島みゆきの「命の別名 /c/w 糸」なんてどうでしょう。

ということで。ちょっと気の利いた手みやげ探し&食べ比べパーティもこれにてお開き。

今回ご紹介した商品で興味をひかれたものはもちろん、いつもは定番しか買わない店で気になる商品があれば、ぜひお試しください。

小田和正の「ラブストーリーは突然に」のように、これって元々はB面やったん?と誰もが驚くパターンがまだまだ潜んでいるかもしれませんよ。