大阪ステーションシティはいつも人で賑わっている。友達同士、恋人同士らしき人々や家族連れ、もっと大人数のグループが、それぞれ顔を見合わせたり会話したりしながら買い物や食事や、その他色々なことを楽しんでいる。

しかし、大阪ステーションシティはひとりで歩いても楽しい場所である。私はよくここにひとりで来て、お酒を飲み、おつまみを食べ、ぼーっとした幸せな時間を味わっているのだ。
今回は、そんな私の“大阪ステーションシティひとり飲み”の模様をレポートしてみたいと思う。楽しみ方の一例としてご覧いただければ幸いである。

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17:00　「沖縄食堂ハイサイ」
美味しい沖縄料理を味わいながら、ゆったりした時間を過ごす

今日の一軒目を探しにやって来たのは、JR大阪駅の桜橋口からすぐのエリアにある商業施設「エキマルシェ大阪」だ。2022年7月には複数の飲食店が立ち並ぶ「キッチンマルシェ」もオープンし、気軽に食事を楽しめる場所としても重宝するようになった。

さまざまな日本酒を飲むことができる「山中酒の店」も気になるところだが、どうしようか……と、しばし迷った後、沖縄らしい料理やドリンクが味わえる「沖縄食堂ハイサイ」に入ってみることにした。ここは大阪市内を中心に沖縄料理をテーマにした飲食店を多数展開する「てりとりー」系列のお店である。大阪駅のど真ん中で本場の沖縄気分が楽しめるなんて、贅沢だ。

ランチタイムには「ゴーヤチャンプルー定食」をはじめとしたセットメニューも人気らしい。ちなみにお店にはテーブル席のほか、カウンター席も用意されており、ひとりで気軽に飲食していく人には、そちらも人気なんだそう。

私は単品のおつまみをいくつか食べつつ、オリオンビールの生を飲むことにする。お店の方にビールに合うおすすめ料理を聞いたところ、沖縄直送の新鮮さが売りだという「海ぶどう」と、「ミミガーシークワーサーポン酢」をイチオシしていただいた。それを注文し、もう一品、名物のゴーヤチャンプルーがハーフサイズでも頼めるというのでそれももらうことに。

料理を待っている間に、ビールが到着。

冷えた生ビールの美味しさが胸に沁みる。“オリオンの生”というだけでなんだかいつもより気分が上向くのはなぜだろう。沖縄をモチーフにした店内の雰囲気もあいまって、早くも自分が大阪ステーションシティにいることを忘れそうになる。

プチプチした食感が心地いい海ぶどうも、シークワーサーポン酢の爽やかな風味がアクセントになっているミミガーも、なるほど、ビールのお供に最高である。

ハーフサイズのゴーヤチャンプルーは、“ハーフ”とはいえ、ひとりでつまむには十分なボリューム。ゴーヤのほのかな苦味を、ふわふわの玉子がまろやかに包み込んでくれる。

滋養強壮にもいいとされるハブ酒を使った「琉球ハブボール」を2杯目にもらって飲んでいると、後味にカーッとくるものがあり、これで今日も元気に飲めそうだと思う。

17:40 「松葉」
「次はどの串かつを食べようか」と考えている時間も楽しい

気ままなハシゴ酒を楽しむべく、次に向かったのはルクア大阪の地下2階にある「バルチカ」だ。ここもまた多彩な飲食店がひしめく一角で、いつ歩いても活気を感じる。
「となりのジャックとマチルダ」や「徳田酒店」など、酒好きに愛される店も多数あり、またも迷ってしまうところだが、今日の私は串かつ店「松葉」を選ぶ。

「松葉」は1948年創業の老舗で、大阪の串かつ文化を語るうえで外せない店である。厨房を取り囲むように設置されたカウンター席では、お店の方が手際よく串を揚げていく様子や、具材を串に刺していく手さばきが間近に見えて、思わず目を奪われてしまう。

さまざまな具材が20種類以上も用意されている串かつメニューの中から、牛串、椎茸、紅しょうがなど、好きなものをあれこれ選んでみた。ほとんどが1本100円台で、お腹の空き具合に合わせて注文できるのが、ひとり飲みを楽しむ者にとってはうれしいところである。

揚がった串がカウンターの前のケースに並べられるので、そこから好きなものを取ってもいいし、好みのものをオーダーして揚げたてを食べてもいい。

私はまずは牛串を、二度漬け禁止のソースにとっぷりと浸して食べてみる。衣のサクサクした軽い食感と、フルーティーであっさりしたソースの味わいに驚かされる。

松葉の串かつは一本ごとが重た過ぎず、いくつ食べても飽きないのである。生ビールをゴクゴクと飲み、おかわり自由のキャベツを串かつの合間にパリパリ食べながら、「次はどれにしよう」とメニューを眺める時間も含めて楽しい。メニューに「週替わり串」というものがあり、その名の通り中身がその時によって変わるそうなのだが、取材時は「ミンチカツ」だった。食べてみたところ、旨味のギュッと詰まったミンチカツの串が、鮮やかな味わいのソースに合わないわけがないのだった。

ドリンクメニューの中に見つけて気になって注文した「松葉ハイボール」は、ひやしあめを入れたハイボールだそうで、生姜の風味と甘みが感じられるのだが、唐辛子が浮かんでいるから後味にはピリリとした辛みがきて面白い。

ソースが決して具材の味を邪魔しないからか、食べ比べがいつまでも楽しい。一番人気だという「若鶏」は、あえて次に来る時の楽しみにとっておくことにした。

飲んだもの/食べたもの

• 生ビール 
• 松葉ハイボール
• 牛串
• 椎茸
• 青唐
• キス
• 紅しょうが
• ミンチカツ（週替わり串）

18:20 「キッチン＆マーケット」
マーケットで買い物とひと休みの一杯を

次に、「バルチカ」からそのまま歩いてすぐの「キッチン＆マーケット」へ向かう。ここは、スーパーマーケットとフードコートが融合したかのようなスペースで、場内に複数ある飲食店の店内で食事をすることもできるし、テイクアウトしたものを中央のイートインスペースで食べていくこともできる。自分なりに選んだおつまみを、好きなビールやワインに合わせて味わうことができたり、もちろん普通に買い物をしてもいいし、やたらと自由度が高くて好きな場所だ。

イートインスペースにほど近い「ドリンクステーション」では、クラフトビールやハイボール、チューハイなどが味わえる。キッチン＆マーケット限定のコラボメニューだという「タルトチェリー＆クランベリー」というビールを飲んでみると、フルーツ由来の鮮やかな酸味とビールの苦味が絶妙に融合した一杯だった。

さて、ひと休みした後は買い物タイムだ。今日、家に帰った後の晩酌を見越して、おつまみを調達していくことにしよう。「キッチン＆マーケット」には日本各地の特産品や海外の食材なども豊富に揃っていて、近所のスーパーでは出会えないような食べ物や飲み物がたくさん見つかるのが魅力だ。

北海道の昆布せんべいやちょっと凝った味付けの柿の種、スパイスの風味が効いたドライ野菜など、晩酌を盛り上げてくれそうなおつまみをあれこれ買う。よし、これで家に帰るのが楽しみになった。

飲んだもの

• タルトチェリー＆クランベリー ビール（期間限定）

18:40 「大阪ステーションシティシネマ」「風の広場」
夕暮れの風が気持ちいい広場で穏やかなひとときを

ハシゴ酒と買い物を満喫した私は、ノースゲートビルディングの11階にある「風の広場」へと向かう。のんびりと過ごせるオープンエアーのスペースで、カフェ、コンビニも同じ階にある。私はこの場所が好きで、よくひとりでぼーっと過ごしているのだ。

締めのひとときを盛り上げるべく、私はまず「大阪ステーションシティシネマ」へ向かう。大阪駅直結のこの映画館、立地もこの上なく便利なのでよく映画を観に来るのだが、私はここで販売されているポップコーンが大好きなのである。

なのでたまに、映画を観に来たわけではないのにポップコーンだけを買うことがある。そしてそれをおつまみにしつつ、風の広場で過ごすのだ。「ファミマ!!」で缶ビールを買ってきてベンチに腰掛け、ポップコーンがたっぷり入った容器を胸に抱きかかえる。

「風の広場」からは開発が進む「うめきたエリア」を見晴らすことができ、梅田周辺の夜景も眺めることができる。外の空気を感じながら次々とつまむポップコーン……ああ、美味しい。ちなみにポップコーンは風で飛んでいきやすいので、その点は細心の注意が必要である。風から守るように大事に食べるのがコツだ。

夜へと向かって刻一刻と変わっていく空の色を眺めながら、大阪ステーションシティで楽しんだひとり時間を思い返していた。沖縄料理も、串かつも美味しかったな。あ、そうだ。晩酌用の買い物したんだった……。さてこの缶ビールを飲み終えたら家に向かって、もう少しだけ楽しい時間を続けようではないか。

飲んだもの/食べたもの

• 缶ビール
• ポップコーン（M）塩