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映画『キングダム 大将軍の帰還』要潤インタビュー

どや!

writer:華崎 陽子
photo:杉 映貴子

「伏線を全て回収した、最高傑作と言える作品」
原泰久の人気漫画『キングダム』を山﨑賢人、吉沢亮、大沢たかおら
豪華キャストで映画化したシリーズ第4弾
映画『キングダム 大将軍の帰還』要潤インタビュー

2001年に「仮面ライダーアギト」で俳優デビューし、『TOKYO MER 走る緊急救命室』シリーズやNHK連続テレビ小説「らんまん」などで、多彩な演技で魅了する俳優、要潤。そんな要が出演している、原泰久の人気漫画『キングダム』を映画化したシリーズ第4弾『キングダム 大将軍の帰還』が、7月12日(金)より、大阪ステーションシティシネマほか全国にて公開される。

秦と趙の総力戦を繰り広げる馬陽の地で、突如出現した趙の総大将・龐煖から致命傷を負った信と仲間たちが脱出を図る一方で、趙の総大将・龐煖と秦軍の総大将・王騎将軍が衝突する。

佐藤信介が監督を務め、脚本は黒岩勉と原泰久が担当。山﨑賢人が主演を務め、吉沢亮、橋本環奈、清野菜名、吉川晃司、小栗旬、大沢たかおら豪華キャストが名を連ねている。そんな本作の公開に合わせ、シリーズ第1作から大沢たかお演じる王騎将軍の副官・騰を演じてきた要潤が作品について語った。


──騰役のオファーを受けた時はどのように感じられましたか。

『キングダム』を実写化するという驚きと、その一員になれるという喜びがありました。身体が大きくてよかったです(笑)。

──王騎将軍の側近、つまり大沢たかおさんの側近にいる副官として騰を演じるというのは、どのような感覚でしたか。

大沢さんは俳優としても人としてもすごく偉大な存在です。そんな大沢さん演じる王騎将軍の軍の一員としても、副官としても、騰はそれなりの重厚感がありながら、ちゃんと自分の立場をわきまえていて。でも本当はすごく強い人間なので、そういう秘めた部分も大切にしていました。将軍の中でも騰は、西洋の匂いがする異質な存在なので。そういう匂いを漂わせながら、王騎将軍の傍に副官としていることを大事にしていました。

──2作目、続編が作られるとお聞きになった時はどのように感じられましたか。

すごく大変なことになるだろうな、と。でも、俳優としては長くやればやるほど、単純に考える時間が増えるので、役に没頭できる楽しみを感じられるんです。キャラクターの気持ちを自分に投影して組み立てられることはすごく幸せですが、クオリティをどれだけ担保し続けることができるのかというチャレンジでもあると感じました。

──本作は、『キングダム』シリーズの集大成だったと思います。要さんにとっても本作にかける思いは大きいものがありましたか。

相当ありましたね。撮影していても皆がそういう思いを持っているように感じました。この『キングダム』のチームは本当にすごいんです。我々俳優も同じチームの一員ですが、俳優はカメラを向けられると孤独な戦いになる。スタッフの熱意や技術、鎧への細かいこだわりをずっと傍で見ているので、下手なことはできないと考えながら撮影に臨んでいました。

──こっちも本気で向かっていかないといけないと。

空気に飲まれないように、集中してワンカットワンカット撮影してました。壮大なシーンが多いので、馬が動いたりして気が散る瞬間がたくさんあって。人が多ければ多いほどそういう瞬間が訪れるので、それに負けられないと気を張っていましたが、精神的には追い詰められてました。

──馬と一緒のシーンは撮影も大変だったと思います。特に、騎馬隊のシーンはすごく大変だったんじゃないかと思いますが…。

大変でしたね。馬がいなないたり、急に用を足し始めるとか。撮影が始まると思ったら、そういう要因で中断されることは何回もありました。自分以外の要因でそういうことが起こる現場だったので、そういう意味では大変でした。

──ラスト付近、王騎将軍と騰が言葉ではなく目で会話を交わすシーンですが、あのシーンは多分何回見ても泣くだろうなと思うシーンでした。要さんはどのような思いで演じてらっしゃいましたか。

個人的にも大沢さんには長い間お世話になりましたし、まともに受けてしまうと絶対泣き崩れてしまうシーンですよね。でも、騰はポーカーフェイスのキャラクターなので、いかに感情を出さずにいるかが大変でした。だからこそ凛として、任せてくださいという思いも込めて見つめていました。

──その思いがスクリーンから伝わってきました。

あのシーンは撮影の雰囲気も普段とは違っていました。山の上で撮っていたので、他のシーンの時は雨が降ってきたり、天候がコロコロ変わっていたのに、あのシーンの時は天気もすごく良くて、光が差し込んできたんです。

──あの光は本物だったんですね。

本物です。今、ここでしか撮れないカットを撮っている感覚を全員が持っていたと思います。誰一人として私語をせず、本番が始まる時を、テンションを保ちながら待っていました。誰もがじっと王騎将軍を見て、集中していたのを覚えています。

──特別な空気が流れていたんですね。

すごかったです。今、神様がいると全員が思ったと思います。

──大沢さんの存在感は、それほど大きいものだったんですね。

そうですね。ある意味、もう1人の主役のような存在なので。王騎将軍の背中を見て自分の役に入った人は多いと思います。大沢さんがストイックなのはもちろんですが、役の掘り下げ方がすごいので。大沢さんが撮影現場に入ってきた瞬間は「王騎将軍が来た」と、全員が思っていたと思います。

──王騎将軍もそうですが、騰も1作目や2作目は特に、ほとんど言葉を発さず、感情もあんまり顔に出さないキャラクターでした。でも、その裏には凛とした強さがあるというキャラクターというのは、表現方法が難しいのではないかと思いました。

難しかったですね。感情をいかに抑えるかというキャラクターなので、1人だけ仲間外れの気分でいつもお芝居してましたね(笑)。一緒にグルーブに乗ってしまうと表情に出てしまうので。どこかしら冷めた感覚を持ちながら客観的に目の前の出来事を見て、王騎将軍から何か言われた時には「わかりました」と。バランスをとるのが難しいキャラクターでした。

──そうですよね。唯一、王騎将軍と信との関わりを見ている時だけ表情がほころぶのが印象的でした。要さんは騰として、信を演じている山﨑さんをどのように見てらっしゃいましたか。

撮影が始まった時はもちろん彼はもう大人でしたが、顔も身体つきもどんどん変わって。目の印象も変わってきて、原作の信を見てるような感覚でした。真っすぐな性格や中身、信を演じるアプローチも全然変わってないのですが、見た目が明らかに進化しているので、一緒に成長しているんだなと感じていました。

──本作では、王騎と騰の結びつきがより深いものに見えました。

そうですね。たぶん、王騎にも騰を頼っている部分があると思うんです。なんと表現すればいいかわかりませんが、2人の関係はバディに近いのかもしれないですね。

──4作目にして、満を持してのアクションシーンがありました。

ようやくありました(笑)。いろんな撮り方をしたので大変でした。例えば、僕が馬に乗って敵を切りながら走るシーンはアップでは撮れません。馬上で撮れるカットは限られていて、引きでしか撮れないので違う撮り方になる。本当に様々でした。

──それは『キングダム』だからというのもあるのでしょうか。

そうですね。本当に贅沢すぎます。ワンカット、引きの画を撮るためだけに新潟へ行くこともありました。僕らもどのシーンを撮るんだろう?と思いながら行くんです。現場へ行ったら田んぼ全体に骨組みを組んでカメラのクレーンがセッティングされていて。僕らが並んでる引きの画を撮るためだけに。しかも用意した後で夕焼けを待って撮って、「はい、OKです」と。何百人というスタッフがワンカットのために、という日もありました。

──完成した作品を観てどのように感じられましたか。

最高傑作だと思いました。原作が続いているので皆さん先を知っているはずですが、映画だけで考えると、集大成に相応しい作品でした。伏線を全て回収した、そういう作品でしたね。

──要さんは『キングダム』の魅力はどういうところにあると思ってらっしゃいますか。

情熱だと思います。信を筆頭に、作品から出てくる熱というか。逆境にギリギリまで追い込まれても諦めずに上を目指す。そういうあり得ないことをやってのける熱ですね。昔の言葉で言うと根性論になるのかもしれませんが、『キングダム』にはそれがバランスよく表現されていると思うんです。すごくアドレナリンが出る描写が多くて、そこに鳥肌が立つような台詞が乗ってくる。それが人気の理由だと思います。

──本作の中で、要さんが一番大事にしているシーンを教えていただけますでしょうか。

やはり最後のシーンですね、漫画で読んでいても、強烈に印象に残っていたシーンなので。みんな漫画の雰囲気を目指してやっていたと思うんです。ある意味、1作目からずっとここを目指していたのかもしれません。

──要さんは香川出身でいらっしゃいますが、大阪の思い出や、大阪で好きな場所はありますでしょうか。

大阪には、朝ドラの「まんぷく」の時に長期滞在してました。大阪は何と言っても食べ物が美味しいですよね。滞在していたホテルの近くに火鍋屋さんがあって。ほぼ毎日そこで火鍋を食べてました(笑)。後は鶴橋に焼肉を食べに行きましたね。

──鶴橋にも行かれたんですね。

駅を降りたら匂いがすごいですよね。土地に焼肉が根付いてるんですね(笑)。通過する時にドアが開いただけでも匂いがしたのを覚えてます(笑)。

大阪ステーションシティシネマ支配人からのコメント


まるで自分が王騎軍の一員になったかの様にまで感じる没入感で、何度もスクリーンの中の兵士達と一緒に雄叫びをあげそうになってしまいました。名シーン・名台詞・名演説の嵐を、是非劇場の大スクリーンで浴びて頂きたいです。大阪ステーションシティシネマのロビーでは、新木優子さん演じる「摎(きょう)」の劇中着用衣装を期間限定で展示しております。世界で1着だけの素晴らしい衣装ですので、鑑賞前・鑑賞後にしっかりと目に焼き付けて頂きたいと思います!

Movie Data

『キングダム 大将軍の帰還』

▼7月12日(金)より、大阪ステーションシティシネマほか全国にて公開

出演:山﨑賢人 吉沢亮 橋本環奈 清野菜名 吉川晃司 小栗旬 大沢たかお 他
監督:佐藤信介
脚本:黒岩勉・原泰久
音楽:やまだ豊原作:原泰久「キングダム」(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)

(C)原泰久/集英社 (C)2024映画「キングダム」製作委員会

Profile

要潤

かなめ・じゅん●1981年2月21日、香川県生まれ。2001年、「仮面ライダーアギト」の氷川誠/仮面ライダーG3役で俳優デビュー。2008年、映画「ピューと吹く!ジャガー THE MOVIE」で主演を務め、TVドラマ「流星の絆」(08)、映画『GOEMON』(09)、NHK大河ドラマ「龍馬伝」(10)などに出演し活躍の場を広げる。近年の主な出演作に、「TOKYO MER 走る緊急救命室」シリーズ(ドラマ版21年、劇場版22年)、NHK大河ドラマ「青天を衝け」(21)、NHK連続テレビ小説「らんまん」(23)、WOWOWドラマ「フィクサーSeason1~3」(23)、TVドラマ「花咲舞が黙ってない」(24)などがある。映画『キングダム』(19)、『キングダム2 遥かなる大地へ』(22)、『キングダム 運命の炎』(23)とシリーズ通して大沢たかお演じる王騎将軍の副官・騰役を演じている。